2023年4月より、大手配送業者のヤマト運輸と、佐川急便がともに運賃価格改定を行います。
ECサイト運営をされている店舗は、両社のサービスを利用・運営している店舗も多いのではないでしょうか?

 

今回の価格改定の背景としては、①「国際情勢の不安定化による資源・エネルギー価格や原材料価格の上昇に伴うインフレ傾向」と、②「2024年問題(労働力減少による賃金や時給単価の上昇)」の2軸があります。
昨年から色々なものが価格改定されておりますが、どの商品も①の理由での値上げが発表されていますね。
今までと状況が変わり、原価の高騰はどの業種・商材にも影響が出ているようです。

 

ただ、こと物流業界に関しては②の「2024年問題」があります。
今回は、ECサイト運営をしている者であれば、知っておきたい2024年問題と、ECサイト運営における送料の考え方についてお伝えします。

ECサイト運営者は把握しておきたい、物流業界の「2024年問題」

ECサイト運営をしている場合、商品の発送に関わってくることなので「2024年問題」について知っておきましょう。
「2024年問題」は、2024年4月1日より施行される働き方改革関連法による、自動車雲梯業務の年間労働時間の上限が960時間までに制限されることによって起こる問題の総称です。
働き方改革関連法による今回の是正は、トラックドライバーの労働環境の改善を狙ったものとなっております。
なぜ問題になっているかというと、トラックドライバーの利益が減ってしまうからです。
働いていた時間が減るということは、1日に運ぶ荷物の量が減るので、運賃を上げなければ単純に作業できない分、利益が減る計算になります。
また、トラックドライバーという職業は、走れば走るほど収入が増える職業でしたが、労働時間が短くなる分、走る距離も短くなりますので、ドライバーの稼ぎが悪くなるといわれています。
ドライバーの収入が下がると懸念されるのが離職で、労働力の不足に拍車がかかるだろうと心配されています。

 

ほかにも2024年問題についてさまざまな情報がありますが、ECサイト運営をしている者であれば、上記の簡易的な内容だけでも押さえておきましょう。

2023年4月から値上げ「ヤマト運輸」の送料

2023年4月3日から送料が値上げされます。
運賃改定の対象は、宅急便、宅急便コンパクト、EAZY、国際宅急便の4つです。

 

ECサイト運営の際、よく使われている宅急便と宅急便コンパクトについて、代表して関東→関東、関東→関西の料金テーブルを掲載します。
この料金テーブルは、現金決済の場合の金額で、金額はすべて税込み表示です。

ECサイト運営の場合、扱う商材によって使うサイズもさまざまだと思いますが、よく店舗で使うサイズについては、どのくらい影響が出るか、確認しておきましょう。

2023年4月から値上げ「佐川急便」の送料

2023年4月1日(土)から送料が値上げされます。
運賃改定の対象は、飛脚宅配便(飛脚クール便含む)、飛脚特定信書便、飛脚ラージサイズ宅配便の3つです。
ヤマト同様佐川急便についても、よく使われる飛躍宅配便の関東→関東、関東→関西の料金テーブルを記載します。

飛脚クール便付加料金については、改定対象は140サイズ(20kg・30kg)のみです。
運賃+クール便付加料金(クール料金)=飛脚クール便発送料金 になります。

佐川急便の場合は、ラージサイズは別メニューになりますが、
ヤマト運輸同様、どのサイズがECサイト運営している中で多く出荷するサイズなのかを把握し、店舗運営への影響を確認しておきましょう。

EC利用者の声

運賃の値上げについて把握したうえで、ECサイト運営の方を考えていきましょう。
ECサイト運営をする中で「送料」を、現在どのように設定されていますでしょうか?

Amazonのプライム会員制度(500円/月で、Amazon出荷商品は送料0円)や、楽天市場の39ショップ制度(39ショップでは、3,980円以上が送料無料<一部例外あり>)など、大手モールでは送料に対するサービスが強化されています。

自社のECサイト運営をされている場合、どうしてもモール店舗や競合店舗と、お客様を取り合うことになります。
そうなったときに、自社のECサイト運営の中でどういったサービスを提供できるか?
自社のECサイト運営の店舗の持つ強みは何かを考えていかなくてはなりません。

 

ここでEC利用者の声をご紹介します。
株式会社ネオマーケティングが、アイリサーチ登録モニターのうち、全国の20歳~69歳の男女100人に対し、実施したアンケートです。
対象は、1か月に1回以上ECサイトを利用する方(利用するECがモール系ショップのみは対象外)となっています。
(期間:2022年3月22日(火)~2022年3月24日(木))
モール除外でのアンケート結果なのが重要です。

 

結果、ECショップを選ぶ際に重要だと思う要素は?という質問に対し、

▶送料の安さが重要だと回答したのが62.2%
やや重要という回答を合わせると88.8%となっており、いかに送料価格の設定が大事かわかります。

 

また、嬉しいと感じる送料設定は?という質問については、

「全品送料無料」という回答が74.1 %となっていました。
その他、「何個購入しても送料一律〇円」という回答が34.5%となっていました。

 

送料が高い方が嬉しいと答える顧客は、なかなかいないのは予想がつきますが、
「ショップを選ぶ際」の決め手に「送料」という項目が上がっているという結果は、ECサイト運営をする者として、顧客ニーズとして捉えておく必要があります。

まとめ

2023年4月より、佐川急便・ヤマト運輸による、送料改定があります。
これにより、送料アップを考えている店舗運営者様もいるかと思います。
EC利用者の声について先述しましたが、ECショップを選ぶ際に重要としている項目には、「発送までの早さ」や、「返品の有無」や、「決済方法」などを抑えて、1番になったのが「送料の安さ」となっています。

 

ただ送料原価が上がるからと、そのまま送料を上げる前に、いま一度店舗運営についてできることを探してみましょう。<送料を安くして、競合に勝つという戦略>と、<送料が高くても、ほかにないサービスを提供することで競合に勝つという戦略>の、どちらに注力するのかを考えましょう。

 

全商品が送料無料でなくても、送料無料の商品を作りったり、ほかの店舗では買えないセット商品などを展開するなど、できるだけ両方取り組めるのが1番良いかと思います。

 

大手ECサイトの定期注文などでは、月1個お届けする方法を→2か月ごとに2個お届けとして、配送回数を減らす運営をされている店舗もあります。
定期の場合は、手元の商品の余剰が解約原因につながるため、難しい運営にはなりますが、できるだけ送料を減らすという点では良いアイディアですね。

定期商品と言わずとも、リピート商材を扱っているECサイト運営の場合は、セット商品などをうまく組んで送料の負荷を軽減できるようにしていきましょう。

ECサイト運営の中で知恵を絞り、セット商品の組み方や値付けの仕方を工夫しながら、送料を抑えたECサイト運営を行う力が求められます。

ベイクロスマーケティングでは、ECサイトの運営をサポートしております。何かお困りごとがありましたら、ぜひご相談ください。
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