ECサイトの売上を伸ばすために、「レビュー投稿でプレゼントがもらえるキャンペーン」を検討している方も多いのではないでしょうか。
しかしそのキャンペーン、実は景品表示法(景表法)に違反している可能性があることをご存じでしょうか?ルールを知らずに実施してしまうと、企業の信用を失うだけでなく、罰則の対象にもなりかねません。
この記事では、EC担当者が必ず押さえておくべき「景品表示法(景表法)」の基本と、レビューキャンペーンやレビュープレゼントキャンペーンを安全に実施するためのポイントをわかりやすく解説します。あわせて、ECモールなどでのキャンペーン運用におけるリスクと注意点も紹介します。

1-1. 景品表示法(景表法)とは?EC担当者が押さえるべき基礎知識

景品表示法(以下、景表法)は、消費者の利益を守るために制定された法律です。企業が過大な景品を提供したり、実際とは異なる誤解を招くような表示で商品やサービスを販売したりすることを防止する目的があります。この法律には、大きく分けて以下の2つの規制があります。

  • 不当表示の規制
    • 実際の内容よりも著しく良く見せる表示(例:根拠のない「最安値」や「効果あり」など)を禁止する規制です。
  • 過大な景品類の提供の規制
    • 過度なプレゼントや景品で、消費者が商品の価値ではなく景品に釣られて購買判断を下すのを防ぎ、公正な取引環境を保つためのものです.。消費者の不当な購買判断を招くことを防ぎ、公正な競争を維持する目的があります。

とくにEC運用の現場では、商品ページやバナー、キャンペーン内容がこの規制に触れやすいとされています。「ちょっとした販促のつもりだった」「他社もやっているから大丈夫」といった軽い気持ちで行った施策が、思わぬリスクに発展することもあります。EC担当者としては、景表法はマーケティング活動の前提となる“守るべき土台”としてしっかり抑えておきましょう。
なお、キャンペーンはECモール内で行う施策についても、同様に注意が必要です。また、さくらレビューを依頼したり社内で行うことは、景品表示法に抵触しますので、絶対にやめましょう。

1-2. レビュープレゼントキャンペーンはなぜ注意が必要?

レビュー投稿でプレゼントを配布するキャンペーンは、購入者の声を集めることができ、信頼性やCVR(コンバージョンレート)向上にもつながるため、多くの企業が導入しています。ただしこのようなキャンペーンでは、景品表示法に違反しないよう、特に以下の点で注意が必要です。

  • 良いレビューを投稿することを促す行為
    • プレゼントを受け取る条件として、良いレビューの投稿を依頼することは、レビューの公平性や信頼性を損なう恐れがあるため、景表法に抵触します。
  • 景品の金額が規制を超えている
    • 景表法では、販売価格に応じてプレゼントの金額に上限が設けられています。これを超えると「過大な景品提供」として違反扱いになる可能性があります。

たとえば、ある企業が高額なクーポンやノベルティを条件付きで配布したことで、消費者庁から指導を受けた事例も存在します。
つまり、レビュープレゼントキャンペーンは正しく設計すれば問題ありませんが、やり方を誤ると法的リスクが伴います。キャンペーン実施の際は、違反リスクを常に意識し、景表法違反を防ぎながら安全に行うことが重要です。

1-3. 違反するとどうなる?罰則やブランドイメージへの影響

景表法に違反した場合、企業には大きなペナルティが科される可能性があります。特に注意すべきは以下の2点です。
■ 課徴金や行政処分の対象になる

  • 景表法違反が認定されると、企業は最大で売上の3%相当の課徴金を支払わなければならないケースもあります。さらに、公正取引委員会や消費者庁からの指導、再発防止命令などが行われることも。こうした行政処分は、Webサイト上での公表義務がある場合もあり、社会的信用の低下に繋がります。

■ 顧客の信頼を失い、売上が減少する

  • たとえ景表法の観点では罰則が課されなくても、「不正なキャンペーンをしていた」といったネガティブな印象が広がれば、ブランドの信用を大きく損ないます。特にECサイトは口コミやSNSでの評判が非常に重要なため、1つのミスが売上減少や長期的なダメージにつながることもあります。景表法違反によるキャンペーン停止や告知も、経営に大きな影響を与えます。

法律違反のリスクは「うっかり」では済まされません。キャンペーンを実施する前に、必ず内容を十分に確認しましょう。
次のセクションでは、実施前に確認すべきチェックポイントをご紹介します。 

1-4. 安全にキャンペーンを運用するためのチェックポイント

レビューキャンペーンを安全に実施するためには、「景表法違反にならない設計」を事前に確認することが大切です。以下のポイントを押さえておけば、リスクを大幅に下げることができます。
チェック1:高評価レビューを書くことを斡旋していないか?

  • 「★5のレビューを書いたらプレゼント」など、評価内容を指定することはNGです。あくまで「レビューを書いた方全員に」といった、中立性を保った内容にする必要があります。

チェック2:景品の金額が規制を超えていないか?

  • 景表法では、販売価格に応じてプレゼントの金額に上限が決まっています。
    • 1000円未満の商品:景品は200円まで
    • 1000円以上の商品:販売価格の20%まで(上限1万円)

この上限を超えると「過大な景品」となり違反になる恐れがあります。景表法遵守のためにも、キャンペーン設計時には細心の注意が必要です。
チェック3:キャンペーン内容がわかりやすく明記されているか?

  • 「応募条件」「提供されるプレゼントの詳細」「発送時期」など、曖昧な表現は避け、明確に記載することが重要です。わかりにくい表示は、誤認を招き「不当表示」と見なされる場合もあります。

チェック4:ECモールのガイドラインに沿っているか?  

  • 景表法の観点では問題ない場合も、各ECモールには独自のルールがございます。ECモールのガイドラインに沿った内容かについても確認が必須です。

以上のポイントを事前に確認しておくことで、顧客との信頼関係を築きながら、健全で効果的なレビュー施策を実現していきましょう。

1-5. まとめ:法令を理解した上で、安全に販促施策を実施しよう

レビュー投稿キャンペーンは、レビュー集めに効果的な施策です。レビューが増えることで売上アップも期待できる一方で、景品表示法(景表法)に違反するリスクがあります。違反すると、課徴金や行政処分の対象になり、企業の信用も失いかねません。とくに「高評価レビューの依頼」「景品の上限超過」「わかりにくい表示」は注意が必要です。
キャンペーンを正しく行うには、法律を守った設計が欠かせません。リスクをおさえながら、安心してキャンペーンを実施できるよう、ルールに沿った運用を心がけましょう。

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