どこにでもある「ボタン」

スマホが普及してしばらく経った今日この頃、消費者の購買行動の1つとして、「自分が納得するまで情報を集める」ということがよく挙げられるようになりました。
スマホさえあれば、移動中や買い物中など、いつでも気軽に情報へとアクセス可能です。
AISASがAIDMAに取って代わったことから分かるように、消費者がネットを通じて
情報に触れる機会は増え続けています。
今や、購買プロセスのすべてがネット上で完結する時代です。
消費者はネットの情報で商品を認知し、関心を深め、検索エンジンを通じて情報収集を行い、ECサイトで購入し、
SNSでシェアする。そのような時代において、Webサイトの重要性はこれまでにないほどの
高まりを見せています。
現代社会の企業にとって、Webサイトは単なる情報置き場ではなく、
目標達成のための手段となりました。
多くの企業がコンバージョンの改善に鎬を削っているわけですが、そのほとんどに共通して
存在する要素があります。そう、「ボタン」です。
資料請求、購入、お問い合わせなど、コンバージョンのためのボタンはWeb上のあらゆる場所に
存在します。その改善が売り上げに直結すると言っても過言ではありません。

どんなラベルだと効果的?

それほど重要な「ボタン」です。
もしあなたがWebサイト制作の携わったことがあるなら、ボタンのラベルにどのような言葉を用いるか、
さんざん迷った経験があるでしょう。
「注文する」が良いのか、「購入する」が良いのか、それとも「カートに追加する」が良いのか。
果たして、相手に行動を取らせる上で、効果的な言葉遣いというものが存在するのでしょうか。

実験から見る、効果的な言葉遣い

スタンフォード大学のグレゴリー・ウォルトンは、次のような仮説を立てました。
「人は自己イメージに沿った行動を取る。しかしこの自己イメージは変わりやすいものであり、
実際に行動を起こすかどうかはラベルによって左右されるのではないか」。
ウォルトンは、その仮説を実証するために、一連の実験を行いました。
その中で最も興味深いのは「名詞と動詞の使い分けによって、選挙での投票に影響が生じるか」という
ものです。
その実験の内容を簡潔にまとめてみます。

対象

選挙権を持っているが、選挙人登録を行っていない人

内容

彼らを2つのグループに分け、投票に関するアンケートに答えてもらう
Aグループ:質問に「有権者」という名詞を用いる
Bグループ:質問に「投票する」という動詞を用いる

仮説

「名詞を使ったほうが被験者の興味を引き、選挙人登録をする可能性が高いだろう」

結果

選挙人登録に関心を示した被験者の割合は、
Aグループ:62.5%
Bグループ:38.9%
ウォルトンの仮説通り、AグループはBグループよりも、登録に対して有意に高い関心を示しました。
その後、複数の地域で似たような実験を行いましたが、いずれも、名詞を用いたほうが関心が高まるという
結果が得られました。
このような結果がもたらされた原因として、「集団への帰属意識」が考えられています。
人には誰しも「集団の一員でありたい」という欲求があります。
「有権者」、「会員」、「提供者」といったように、名詞を使用したラベリングを行うことで、
人はその集団の一員だという自己イメージを抱き、それに沿った行動を取りやすくなる、というわけです。

まとめ

人に行動を起こしてもらいたいときは、動詞ではなく名詞を用いるとより効果的です。
こうした現象は、登録フォーム等のボタンを作成する際に有効活用していきましょう。
例えば、「会員になる」というボタンの方が「登録する」よりも効果的だと考えられます。
もちろん、こういった研究に絶対のものはありません。
しかし、効果的なボタンを作ろうとして五里霧中に陥ったのなら、
ウォルトンの研究は良い指針となるでしょう。

 

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