Webサイト制作時には、ページの最下部にコピーライトを表記するのが一般的です。
「コピーライト表記=著作権を表すもの」ということはよく知られていますが、

・©とテキストのCopyrightは併記するべきなのか
・年号は入れるべきなのか
・年号を入れるとしたら、公開した年なのか更新した年なのか

 

など、書き方で悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日本国内のWebサイト制作におけるコピーライト表記について解説します。

「©」と「Copyright」の違いは?

WebサイトやECサイトでは、「©」とテキストの「Copyright」を併記しているページをよく見かけます。
「©」と「Copyright」はどちらも同じ意味ですが、実はこの二つには明確な違いがあります。

「©」は万国著作権条約に加盟している国で有効なマークで、これを入れることによって、著作権の所持者を明確に表すことができます。
言い換えると、このマークが入っていない著作物は、条約上では保護されないということになります。

「(C)」という表記もたまに見かけますが、かつてのパソコンでは「©」が文字として登録されていなかったり、機種依存文字となっていたため、この表記が使われることがありました。
歴史のあるWebサイトでは、慣習により現在も「(C)」を使用している場合があるようです。

一方「Copyright」というテキストでの表記は、世界条約等によって決められているものではありません。
この表記はかつてアメリカで使用されていたもので、当時のアメリカでは「©」の他に「Copyright」「Copr.」という表記が認められていました。

現在も米国著作権法第401条に規定があるものの、万国著作権条約で認められているのは「©」のみです。
そのため、正規の書き方という意味ではテキストの「Copyright」は不要ということになります。

実はコピーライト表記は必須ではない?

Webサイト制作時にはコピーライト表記が必須のように思われますが、実は日本の著作権上では、表記が義務付けられているわけではありません。

日本では、コピーライトについて規定する「万国著作権条約」と、著作権法について規定する「ベルヌ条約」という2つの国際条約に加盟しています。

万国著作権条約

万国著作権条約では、著作物の登録が必要な方式主義を採用しています。
この条約では、著作物の登録を行ったうえで「©」「著作物の発行年」「著作権保持者の名前」を表記することが義務づけられています。

※著作権には保護期間があり、個人の場合は死後70年まで、団体名義の場合は公表後70年までとなっています。
著作物の発行年は、残りの期間を明確にするために必要となります。

ベルヌ条約

ベルヌ条約では、著作物の申請手続きが不要な無方式主義を採用しています。
無方式主義では、著作物を創作した時点で自動的に著作権が付与されます。

ベルヌ条約と万国著作権条約の両方に加盟している場合は、ベルヌ条約が優先されます。
そのため日本においては、著作権の登録が必要なく、コピーライト表記も必須というわけではありません。

コピーライト表記を行う理由とは?

前述の通り、日本国内ではコピーライト表記は必須というわけではありません。
しかし、Webサイト制作の現場では、慣習的に表記を入れるのが一般的です。

当社でも、Webサイト制作時には必ずフッターに表記をお入れしています。
これは、認知度の高い「©」によって著作権があることを明示し、無断コピーや無断転載を防ぐためです。

スマホやSNSが普及した現代では、リテラシーの高くないユーザーも多く、無断コピーや無断転載によるトラブルが起こりやすくなっています。
トラブルを未然に防ぐためにも、著作権を明示しておくことを推奨します。

日本でも著作権登録ができる?

著作物を創作した時点で自動的に付与される著作権ですが、実は日本国内にも「著作権登録制度」というものがあります。

ただ、全ての著作物を登録できるわけではなく、著作権法で定められた一定の事実があった場合にだけ、その内容を登録することができるというものです。
登録申請ができるのは下記に当てはまる場合のみとなります。

著作権登録制度一覧表

※出典:文部科学省ホームページ (https://www.mext.go.jp/)

ベイクロスマーケティングが推奨するコピーライトの書き方

万国著作権条約では、下記の3点を必須表示項目と定めています。

・コピーライトマーク(©)
・著作物の発行年(YYYY)
・著作権保持者の名前(個人名・企業名・団体名など)

 

つまり、条約に則った必要最低限の表記内容は「© YYYY ●●」となります。
※この3つの項目が入っていれば、順番は変更可能です。

しかしベイクロスマーケティングのWebサイト制作では、あえて「© ●● All Rights Reserved.」と表記しています。
その理由について、項目ごとに解説していきます。

コピーライトマーク(©)

当社のWebサイト制作では、正規表現であるマークのみをお入れしています。
「© Copyright」のようにマークとテキストを併記しているWebサイトもありますが、どちらも同じ意味「コピーライト」という意味なので、併記する必要はありません。

著作物の発行年(YYYY)

万国著作権条約では必須とされる発行年ですが、当社ではあえてお入れしていません。

一度作成したらほとんど改訂されることのない資料とは違い、Webページは適宜上書きによる更新が行われます。
発行年を入れることにより、「何年も更新されていない古いページだ」という印象を与えかねません。
そのため、当社のWebサイト制作では発行年の記載を省略しています。

発行年と最終更新年を記載する「YYYY – YYYY」という表記も見かけますが、毎年更新作業が発生することから、当社としてはこの表記も推奨していません。

株式会社の英語表記

Webサイト・ECサイトの運営者が株式会社の場合、著作権保持者として社名を入れる必要があります。
コピーライト表記において、「株式会社」の英語表示の仕方は特に規定がありません。
当社ではクライアントのご希望に合わせて、下記いずれかの表記を採用しています。

●● Inc.(※Incorporated)
●● Corporation
●● Ltd.(※Limited)
●● Co., Ltd.(※Company Limited)

「All Rights Reserved.」について

「All Rights Reserved.」は、1910年にアメリカ合衆国など方式主義諸国が調印したブエノスアイレス条約に基づく表記です。
非加盟国である日本では記載の義務はありませんが、「全てのコンテンツが保護されている」ということが一目で分かることから、当社のWebサイト制作では必ず表記しています。

■OKパターン

<推奨例>
© Baycross Marketing Inc. All Rights Reserved.
© Baycross Marketing Inc. All rights reserved.


下記の表記でも可能
© Baycross Marketing Inc.
© Baycross Marketing Co., Ltd.

■NGパターン

© Baycross Marketing Inc
→Incの後ろにピリオドがない。

© Baycross Marketing Co.,Ltd.
→Co.,の後ろに半角スペースがない。


まとめ

Webコンテンツは無断コピー・無断転載がしやすい性質上、著作権を巡るトラブルが後を絶ちません。
国としても問題視しており、2020年9月7日には内閣府の知的財産戦略本部による「デジタル時代における著作権制度・関連政策の在り方検討タスクフォース(第1回)」が開かれました。
海外でも著作権についての規定を見直す動きがあり、今後は世界的に法改正が進められていくと考えられます。

日本においてのコピーライト表記は、必ず入れなければならないというものではありません。
しかし、トラブルを未然に防ぐためにも、誰にでも分かりやすい方法で明示しておくことを推奨します。

ベイクロスマーケティングでは、Webサイト制作・ECサイト制作はもちろん、Webコンサルティング・ECコンサルティングも行っています。
法改正や、モール型ECサイトの規約改定など、最新の情報に合わせたWebサイト制作・改修をご提案いたします。
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