WebサイトやLPの利用状況を分析するための代表的な方法として、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールがあります。Google Analyticsは無料ということもあり、企業が自社のWebサイトに導入し、Webマーケティングに活用するのが一般的になってきています。

アクセス解析ツールを導入することで把握できるアクセス数やUU(ユニークユーザー)数、CVR(コンバージョンレート)等の指標をKPI/KGI(目標達成指標)として設けている企業も少なくありません。
多くの担当者は日々これらの数値と戦っていることかと思いますが、数値が分かったところで何をどう改善すればいいかは分からない。。という担当者も多いはずです。また、LPも同様に、これまでヒューリスティックな分析と改善を繰り返してきたものの、もはや改善策も頭打ちという状況も少なくありません。

本コラムではページ内の行動を可視化することでユーザー心理を把握・分析し、直感的にサイトの課題を解決できる「ヒートマップ分析ツール」についてご紹介します。

ヒートマップ分析とアクセス解析との違い

通常のアクセス解析は、どのページがどれだけ見られたか、どのようなセッション・遷移が発生したのかを中心に分析します。その元となるのはアクセスログで、サーバへのリクエストデータ等が分析対象となります。サイト全体のパフォーマンスや流入経路、ページ間の遷移や滞在時間、直帰率や離脱率など、サイト全体の定量的な数値が把握できます。

その結果から、よく見られておりもっと力を入れるべきコンテンツや、「サイト内での遷移が少ないため回遊導線を改善すべきでは?」などといった方向性が見えてきます。(あるいは「仮説」が立てられます。)しかし、アクセス解析ツールによる分析では「そのページのどこをどう改善すればいいのか?」というところまでは分析できません。

一方、ヒートマップを用いた分析では、ユーザーがどこをクリックしたのか、どの画像やテキストに興味を示したのかといった、訪問者の行動や「心理」を可視化します。各ページにおける動きを詳細に捉えることで、アクセス解析データだけではでは掴みきれなかったWebマーケティングにおいて極めて重要なインサイトを導き出すことが可能になります。

 

マウスの動き=目の動き!?ヒートマップ分析でできること

Webサイト閲覧時のユーザーの“マウスの動き”と“視線の動き”は、84%~88%の精度で一致しているという研究結果がでています。

ユーザーはクリックする時だけでなく、スクロールする時や、ある部分を注視する際、画面にマウスのカーソルを合わせ、読み進めるに従ってカーソルを動かしていきます。

つまり、マウスの動きを記録・分析することで、非常に高い精度でサイト閲覧時の行動と注目ポイントが分かると言えます。ヒートマップ分析ツールでは、そんなユーザーのマウスの動きを可視化することができます。

下図は「ホバーマップ」と呼ばれるヒートマップです。カーソルの動きを追い、多くのユーザーがカーソルを置いた場所が、赤く表示されます。「ホバーマップ」を分析することで、ページ内でのユーザーの行動を細かく追うことができます。

【どこに着目しているのかを判別】

スクロールデータから注目されているコンテンツを探る

スクロールヒートマップではページ到達率・ページ滞在時間を把握し、ユーザーの注目しているコンテンツを判別することができます。また「どこまでスクロールしたか」や「どこで離脱したか」といったヒートマップのデータをグラフで定量的に分析ができます。ページ到達率(スクロール率)を見れば、何割のユーザーがどこのコンテンツまでたどり着いているかが分析できます。
記事型のLPで考えると、ページ下部まで読ませることが本来の目的であることが多いので読了率を図る際にも非常に役立ちます。

【滞在時間が長いほど赤くなる】

ヒートマップを活用したWebマーケティング

ヒートマップ分析ツールの有効活用によって実現できるWebマーケティングの例をいくつかご紹介します。

①LPの最適化

入り口となるWebサイトのトップページやLPに力を入れるのは一般的な考え方ですが、実際にはほかにもアクセス数が多い、つまり集客力が高く、多くのユーザーとサイトとの第一接点となっているページがあるかもしれません。これらのページにおけるユーザーの行動をヒートマップで重点的に分析することで、ニーズを読み取る手がかりになります。見せたいコンテンツと実際に関心のあるコンテンツを対照すれば、SEOやリスティング広告の対策キーワード見直しやサイトのポテンシャル再発見のきっかけにもなります。

②ページ閲覧時の関心や注目箇所が明確に

アクセス解析ツールでは、ユーザーが画像やテキストのどの部分に注目していたのかを知ることが難しいのですが、ヒートマップ分析ツールならそれを視覚化して表示することができます。ページ内での離脱ポイントや、どこの情報を重点的に閲覧していたかなど、通常のアクセス解析では気づかないユーザーの行動が発見でき、本当に重要なコンテンツの洗い出しに役立ちます。

③ページ構成の合理化とコンバージョン率アップ

Webサイトを制作する際は、行動のシナリオを立ててレイアウトやボタンの場所、コンテンツの配置等を設計すます。しかし実際のユーザーはなかなか想定通りに動いてくれません。ヒートマップ分析を行うことで閲覧者のリアルな利用習慣と行動が映し出され、リンクがないのにクリックされていたり、入力フォームの途中で諦めたりといった想定外の動きが見えてきます。

レイアウトを変更したらもっと使いやすくなる、ここに導線を設置すれば次のステップに進んでもらえる等、ユーザビリティの向上による離脱率・直帰率の低下、サイト内導線の改善による回遊率の向上などが期待でき、サイト全体の合理化とコンバージョン率アップに繋げることができます。

 

まとめ

コンバージョンを導き出すヒントは、ユーザー行動の中に隠れています。それを読み取るためには、アクセス解析やヒートマップのような分析ツールが有効です。しかしヒートマップで行動を可視化できたとしても、どこに問題があるのか、どうすれば良いのかまで答えを出してくれるわけではありません。ヒートマップ分析ツールによって得られた情報に基づいて仮説を立て検証していくことが大切です。
また、各ツールを単独で使用せず、ほかの手法と併用し、多角的に分析を行うことによって見えてくるものもあります。自社の状況と目的を明確にした上でツール・手法を選択することで、より成果の出せるWebマーケティングが可能になります。
ヒートマップツールやアクセス解析ツールは導入がゴールではなく、分析と改善を重ねることが重要です。ベイクロスマーケティングではツールのご紹介から改善提案、実際のリニューアルまでワンストップで対応いたします。運営されているWebサイトでお困りの方はお気軽にお問合せください。
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