商標の種類

みなさんは、商標としてどんなものが登録できるか、その種類がどれくらいあるのかをご存じでしょうか?
商標は他社のモノと差別化するために、当初は文字や図形・記号など平面的なマークのみを”商品”に付すことを目的としていました。

その後、時代の流れとともに、モノを売るだけではなく、”サービス”を提供するビジネスが生まれたことで”サービス”にも商標を付すことができるようになりました。

さらに、1995年の商標法改正により、立体的形状のものが商標として認められるようになりました。
そう、不二家のペコちゃんやKFCのカーネルおじさん、コカコーラの瓶、ヤクルトの容器などが立体商標です。

また昨今では、インターネットの普及により商品やサービスの広告宣伝のあり方に多様性が要求されるようになり、
その時代背景を受けて新たな識別方法の必要性が生じてきました。

そこで2015年、新たに「音」「動き」「ホログラム」「色彩」「位置」といった商標の種類が定義され出願の受付をスタートしています。

新たに定義された商標の種類を含めると10種類になり、内容・特長は以下の通りです。

内容と特徴

《 1.文字商標 》
この商標は標準的な文字のみで表され、文字であれば複数種類の組合わせも可能です。
漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、外国語、数字などで表記します。
一般的にはモノクロで表記し、色彩を持ちません。
 
《 2.記号商標 》
丸(○)や三角(△)などの記号と文字を組み合わせた商標です。
のれん記号やカナ文字、アルファベットなどを輪郭として囲ったり、文字と組合わせて図案化したものなどがあります。
 
《 3.図形商標 》
マークやキャラクターなどロゴ状に文字や図形を表記します。
図形の表現に特段の制限はなく、写実的でもデフォルメされたものでも図案化した標章であれば出願できます。
 
《 4.結合商標 》
文字、記号、図形、立体商標を基本形として、これらのものを2つ以上組み合わせたものが結合商標です。
クロネコヤマトの宅急便のマークやナイキやアディダスのロゴなどが代表的なものです。
最近の商標にはこの識別力が高い結合商標が多くなっています。
 
《 5.立体商標 》
キャラクターの立体看板(人形)や文字・マーク付きの容器などの商標です。
昔の郵便ポスト、タイヤのミシュランのキャラクター、PlayStationのコントローラーなどがあります。
 
《 6.音商標 》
聴覚で認識される商標で音楽、音声、自然音などからなる商標です。
CMなどに使われるサウンドロゴでは、「♪セキスーイハウス」「ファイトー、イッパーツ」」「♪カラリオ~」などがあります。
 
《 7.動き商標 》
文字や図形などが時間の経過に伴って変化する商標です。
テレビやコンピューター画面などに映し出される変化する文字や図形などになります。
わかりやすい例では、お仏壇のはせがわさんの「お手々とお手々のシワを合わせて、ナームー」の一連の動作です。
 
《 8.ホログラム商標 》
文字や図形などがホログラフィーその他の方法によって変化する商標です。
見る角度によって変化して見える文字や図形などになります。
アメリカン・エキスプレス社がクレジットカードの表面に付されたホログラムを商標登録しています。
 
《 9.色彩商標 》
単色又は複数の色彩(カラー)の組合せのみからなる商標です。
商品の包装紙や広告用の看板などに使用される色彩などがあります。
わかりやすい例では、MONO消しゴムの「青+白+クロ」や、セブンイレブンの看板「白+オレンジ+緑+赤」です。
 
《 10.位置商標 》
文字や図形などを商品などに付ける場合、その位置を特定する商標です。
海外で現実に登録されているものでわかりやすい例としてはLevi'sのジーンズのポケット部分の赤タグや、プレイボーイ社のバニーガールの耳、尾、IBM(レノボ)のコンピュータキーボードの赤色のカーソルコントロールデバイスの位置などです。
 
 
上記に挙げさせていただいた通り、とても多くの種類があり、活用シーンも様々です。
 
特に「音商標」は、CMやYoutubeなどにおける消費者との接点において、親しみのある識別性の高いメロディーで、繰り返し脳裏に擦り込んでいくことで、強固なブランド形成に繋がるのではないかと考えています。
 
キャッチーなフレーズやメロディーだけで企業を想起させることのできる「音商標」は、インターネット時代の必須知的財産であると言えます。

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