【権利範囲は3段階で指定する】

商標登録(出願)をする際には、その商標をどのような商品あるいはサービス(役務)に使用するのかを指定し、権利範囲を特定(制限)する必要があります。

 

商標出願における権利の指定範囲は、日本の場合は、下記の3段階に分かれています。

「区分」>「指定商品・サービス」>「類似群コード」

特に3番目の「類似群コード」の考え方は他国への出願ルールと大きく異なっており、国内出願のハードルを上げてしまっていると言えます

今回のコラムでは商標出願時における最初の登竜門とも言える、「区分」と「指定商品・サービス」の考え方について解説したいと思います。

【区分と指定商品・サービスが権利の範囲を決定する】

商標権の権利範囲は、出願書類(願書)に記載した商標と区分、指定商品・サービスの内容によって決定されます。

同時に、先行登録のある他者の商標との類似・非類似の判断も、この「区分」と「指定商品・サービス」照らされ評価・審査されることになります。

特許庁において、出願内容に基づく審査が行われ、無事に登録が認められると、独占的に使用できる権利を手にすることとなります。

【権利範囲は広い方がいい?】

商標出願時に列挙する指定商品・サービスは数多く存在しており、計45個の「区分」(国際分類)によって分類されています。

願書には、その区分とともに指定商品または指定役務の名称を記述することで、権利範囲を定めることになります。

 

商標権における権利範囲を考えた場合、自社保有商標の権利範囲が広いということは、その事業領域において競合他社の参入を排除できるということにつながり、大きなメリットになり得ますが、同時に以下のようなデメリットを伴うことにもなります。

 

・本来必要としない指定商品または指定役務まで列挙することで、先行登録商標の権利範囲に抵触してしまう恐れがある。(出願時の審査段階で拒絶される)

・広範囲に指定しまうと、特許庁の審査の過程で疑義をかけられ証拠提出を求められる場合がある。

・指定商品またはサービスがまたがる「区分」の数によって出願時・登録時の費用が決定されるため、使用想定外の区分まで拡張して記載してしまうと無駄な費用が発生することになる。

・権利範囲の拡大を目的に、将来的にも使用を予定していない指定商品またはサービスまで記載してしまうと、不使用取消審判請求の対象となるリスクを抱えることになる。

 

以上のことから、対象商標における現在のビジネス領域と将来のビジネス領域を鑑みる一方で、過剰に権利範囲の拡大を求めることは、商標の出願戦略の上ではリスクに繋がるということを十分に理解し、指定商品または指定役務を決定する必要があります。

【参考資料】

商標国際分類表 商品・サービス 全45類の「簡易版」を作成しましたので、ご活用ください。

 

商標国際分類表(簡易版) 商品・サービス 全45類

 

区分 商品の具体例
1類 工業用、科学用又は農業用の化学品 他
2類 塗料,着色料 他
3類 洗浄剤,化粧品 他
4類 工業用油,工業用油脂,燃料,光剤 他
5類 薬剤,サプリメント 他
6類 卑金属及びその製品 他
7類 加工機械,原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械 他
8類 手動工具 他
9類 電子応用機械器具及びその部品,ソフトウェア,電気通信機械器具 他
10類 医療用機械器具,医療用品 他
11類 照明用、加熱用、蒸気発生用、調理用又は衛生用の装置 他
12類 乗物その他移動用の装置 他
13類 火器,火工品 他
14類 アクセサリー,貴金属,宝飾品,時計 他
15類 楽器 他
16類 雑誌・新聞等の印刷物,紙,事務用品 他
17類 電気絶縁用、断熱用又は防音用の材料,材料用のプラスチック 他
18類 かばん類,財布,革及びその模造品 他
19類 金属製でない建築材料 他
20類 家具,プラスチック製品であって他の類に属しないもの 他
21類 家庭用の手動式の器具,化粧用具,ガラス製品,磁器製品 他
22類 ロープ製品,帆布製品,詰物用の材料 他
23類 織物用の糸 他
24類 織物,家庭用の織物製カバー 他
25類 被服,服飾小物,履物 他
26類 裁縫用品 他
27類 床敷物,織物製でない壁掛け 他
28類 がん具,遊戯用具,運動用具 他
29類 動物性の食品,加工野菜 他
30類 加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。),調味料 他
31類 加工していない陸産物,生きている動植物,飼料 他
32類 アルコールを含有しない飲料,ビール 他
33類 ビールを除くアルコール飲料 他
34類 たばこ,喫煙用具,マッチ 他

 

区分 役務(サービス)の具体例
35類 広告,ショッピングモール,求人情報の提供 他
36類 金融,保険,不動産の取引 他
37類 建設,設置工事,修理 他
38類 電気通信 他
39類 輸送,こん包,保管,旅行の手配他
40類 物品の加工その他の処理 他
41類 教育,訓練,娯楽,スポーツ,文化活動 他
42類 科学技術に関する調査研究,電子計算機又はソフトウェアの開発 他
43類 飲食物の提供,宿泊施設の提供 他
44類 医療,動物の治療,人又は動物に関する衛生及び美容 他
45類 冠婚葬祭に係る役務,警備,法律事務 他

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