“営業”と聞くと客先を何件も回り、靴底をすり減らして契約を取るような、
「足で稼ぐ姿」を想像する方もまだ多いのではないでしょうか。
国土が狭い日本では、従来から行われている営業手法であり「アウトサイドセールス」「フィールドセールス」
と呼ばれています。
とにかく客先を回ってこその営業だと考えられてきました。
しかし近年、このような営業スタイルに、少しずつ変化が生じています。
ビジネスツールの発達や、インフラの整備、顧客ニーズの変化などから、
以前より戦略面を強化した『インサイドセールス』という営業手法を採用する企業が増えています。
そんなインサイドセールスについて、Webマーケティング会社のコンサルタント目線から分析してみたいと思います。
アウトサイドセールスが非効率である理由
① 営業マンへの過負荷
アウトサイドセールスは、顧客にとって、顔を合わせて商談ができる安心感というメリットもありますが、
営業をする側としては限られた人的リソースを長時間拘束されることになります。
営業マンが一日で訪問できる数には限界があるので、営業マンを増やさない限り売り上げを大きく伸ばすことは難しくなります。
担当者と会わせてもらう前に受付で断られてしまうこともありますし、
いくら優れた商品であっても、知らない会社の営業マンがいきなり訪れてきて、
今欲しいとも思っていない商品を紹介されても心に響かないのです。
一方で営業マンにもデメリットがあります。
営業マンも人間ですから、非効率な営業活動を続けることは精神的にも大きな負担となります。
② 購買行動のデジタルシフト
これまで商品やサービスについて情報を集めるためには、
それを提供する会社の担当営業マンに会うのが唯一の方法でした。
それが現在ではインターネットの普及により、買い手と売り手の情報格差はほとんどなくなり、
情報収取のために営業マンに会う必要はありません。
大半の情報は検索をすれば収集できますし、
企業もそれを理解しているのでわざわざ飛び込み営業で商品についての説明をされることは、
もはや必要ではなくなっています。
このような背景から、アウトサイド型の営業スタイルは、
時間や労力と見合わない「非効率な営業」と考えられるようになりました。
そこで今、営業活動の効率化のために注目を浴びているのが『インサイドセールス』という営業スタイルです。
受注数の向上や営業活動の効率化を目的としてインサイドセールスを導入し、
アウトサイドセールスが受注確度の高い見込み客に集中できる環境を構築する企業が増えています。
インサイドセールスとは
インサイドセールスは、文字通り内勤型営業のことで、Pull型の営業スタイルです。
一方的にPushするアウトサイドセールスとは真逆のスタイルで、
有益な情報を発信して潜在的なニーズを掘り起こし、購買行動を支援することで受注へと繋げていきます。
「Identify(識別する)」→「Connect(繋がる)」→「Explore(調査する)」→「Advice(助言する)」
営業活動を4つのステージに分け、
それぞれのステージで顧客の課題解決のための情報提供や提案によって信頼関係を築き、受注へと繋げます。
具体的な流れは次のようなものになります。
- 自社WebサイトやホワイトペーパーのDL、セミナーを通じて有益な情報を継続的に発信する
- Webサイトへの訪問者やセミナー・イベントへの来場者をリード(見込み客)として情報を管理する
- リードごとに興味関心を整理し適切なタイミングでさらに有益な情報を提示す。
- リードの潜在ニーズが高まった頃に自社製品をアピールするかリード情報を営業に引き渡す
このようにインサイドセールスも100%Pull型というわけではありません。
適切なタイミングを見極めてこちらからアプローチすることで、
従来のマーケティングよりも高い確率で案件化または顧客化することが狙いです。
ツールの活用
インサイドセールスをより効果的に行うためには、ITツールの活用が欠かせません。
今回は、2つのツールをご紹介します。
①SFA ( Sales Force Automation )
インサイドセールスとアウトサドセールスを分業化する際には、両者が持つ情報の一元管理と可視化が欠かせません。
そこで利用したいのが、SFAです。 日本語でいうと営業支援システムのことで、
営業メンバー各自が持っている顧客情報・進捗情報を記録して共有するためのツールを指します。
- リードの情報(顧客企業の基本情報、顧客とどのように接点を得たか、顧客の課題など)
- 過去にいただいたお問い合わせ履歴
- 案件の進捗状況
といった情報をインサイドセールスからアウトサイドセールスへ正しく共有できていないと、
アウトサイドセールスは各リードに対する適切な提案を行うことができません。
SFAを利用すれば、社内の情報共有にかかる手間・無駄を減らすことができ、分業による営業活動をスムーズに行えます。
②アクセス解析ツール
インサイドセールスのメリットの一つは「リードの育成ができる」という点にありますが、
これを適切に実行するために欠かせないのが「リードの見込み度合いの把握」です。
そこで役立つのがアクセス解析ツールです。
このツールを使えば、自社のWebサイトにアクセスしたリードの行動を細かく把握することができます。
- アクセスしたのがどの会社の誰か
- いつ、どのページを閲覧したか
といった情報を知ることができます。
こうして得られた情報を元に、
「どの見込み顧客がどのサービスにどの程度興味を持っているのか」を推測することで、
その後に効率的なアプローチが可能になります。
また、キャンペーンやセミナーといったマーケティングを実施した後にアクセス解析ツールで見込み顧客の動向をチェックすることで、施策の効果を測定することも可能です。
これを繰り返すことで、今後の戦略をブラッシュアップしていくこともできます。
アウトサイドセールスとの協調性がカギ
営業スタイルの話をしましたが、
インサイドセールスが普及しても、アウトサイドセールスがなくなることはないと考えています。
むしろ、どちらか一方だけでなく、2つの営業手法を効果的に組み合わせることが重要です。
たとえば、インサイドセールスでリード情報を基に顧客ナーチャリングのアプローチを行い、
要望や決裁者が明確になった顧客としてアポイントの獲得、場合によっては提案フェーズまで行います。
その後、アウトサイドセールスが課題の明確になった顧客を訪問し、クロージングしていきます。
このように、二つの営業スタイルが協調することで、営業活動全体の効率化が図れるともに、
顧客訪問による商談後成約率のアップが期待できるのです。
そして、顧客の状況に応じて対応をカスタムし、最適なアプローチを行うことが可能になります。
まとめ
インサイドセールスには、営業活動の効果を大幅に向上させる可能性があります。
これからの営業活動においては、効率化と顧客目線によるアプローチが不可欠です。
弊社では、営業活動やより効果的な集客のためのシステム、前述したツールの導入や活用法など
様々なご提案が可能ですのでお気軽にお問合せください。
Written by yasuda